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常勝キングスの苦悩 PART2

PART1からの続き)
■2013年5月12日(日) 第2戦 キングス 90-60 京都ハンナリーズ
前日に行われた第1戦で大敗を喫したキングスは、第2戦と第3戦を連勝するしかなくなりました。しかし、崖っぷちに立ったことで開き直ったかもしれません。この日迎えた第2戦は、序盤から持ち前のプレッシャーディフェンスで京都のターンオーバーを誘発します。
攻めては小菅直人が第1Qだけで5本の3Pシュートを沈め、前日の試合でストレスを抱えていた観客の抑圧を解放。会場のボルテージは一気に最高潮に達します。
これだけ小菅の調子が良いと当然彼にボールが集まりますが、ポイントガードの並里成はボールを散らし、なかなかシュートに当たりの来ない山内盛久にもコツコツとパスを供給していました。1日で2試合をこなし、その2試合とも勝利しなければならないチームにとって今日は総力戦。特定の選手にボールが集中する状況は好ましくありません。この日の並里はボールをシェアする意識が高く、それが序盤の良い流れにつながったと思います。
試合が進み、第2Q、第3Qに差し掛かってもキングスの圧倒的優位は変わりません。もしキングスが勝利した場合は第3戦が控えていますから、京都がどこで試合をあきらめ、第3戦への準備を始めるかが試合の焦点になりました。
第3Q 2分43秒、58対31とその差が27点に広がったところで、京都はコート上の外国籍選手を全員ベンチに下げ、オール日本人選手にします。
「遂にその時がきたか」と、僕は思いました。
が、第4Q開始と同時に京都は再び外国籍選手をコートに戻してきました。このメンバーチェンジにどういった意図があったかは分かりませんが、仮説として、キングスの油断を誘いたかったのではないかと思います。試合をあきらめたと思わせたところで、再び主力を戻して相手のリズムを狂わせるという意図。
しかし、キングスは動じませんでした。
試合終盤に差し掛かって山城吉超のアシスト、菅原洋介のバスカン、金城茂之の連続3Pシュートが決まり、燃え上がる観客に更なる燃料を投下します。点差が離れたことによりプレータイムは分散し、第3戦に向けたスタミナも十分。「これ以上ない」というお膳立てを整えたところで、戦いは最終局面へと突入します。
■2013年5月12日(日) 第3戦 キングス 14-19 京都
第2戦から25分間のインターバルの後、第3戦(最終決定戦)が始まりました。
この日好調の小菅に対し、京都は日本人エースの片岡大晴をマッチアップしてきました。
対するキングスはストロングポイント=並里の1on1を起点に攻撃を組み立てます。インサイドを2つ攻めた後、今度はキックアウトしてアンソニー・マクヘンリーの3Pシュート。7対0と一気にリードを奪うと京都たまらずタイムアウト。
ここまでは最高の展開でした。
しかし、ここからが地獄でした。
タイムアウト明け、京都はマッチアップを変更し、キングスの1stオプションである並里に片岡を付けます。かといって小菅をフリーにはできないので、岡田優がフェイスガード気味に付き、ボールを持たせないディフェンスを展開していました。ここからキングスの得点が止まります。
マックにボールを預けてからのアイソレーションや、高さのミスマッチを突いたテレンス・ウッドベリーのポストアップ、並里とジェフ・ニュートンの2メンゲーム、小菅をフリーにするためのハンドオフのスクリーンプレー等々、さまざまな手段で点を獲りにいきますが、最後までオフェンスが噛み合うことはありませんでした。
第3戦は試合を通じて3回しかタイムアウトを取れないので、選手間のコミュニケーションが重要になります。こういう噛み合わない状況の時、過去のキングスならば選手同士が会話をしたり、フリースローサークルでハドルを組む場面がありましたが、この試合に関してはまったく見られませんでした。
前日に行われた第1戦と同様、「何かがおかしい」という印象を拭えぬまま、キングスの2012-13シーズンが終了しました。その「何か」が何なのかを探す旅が、これから始まります。
☆ ☆ ☆
キングスは毎年のように有明ファイナルズへ進出してきたので、最もオフシーズンの短いチームの一つでした。しかし、今シーズンは少しだけ早く来シーズンに向けた準備を始めることができます。
並里成は、おそらく今オフに渡米することでしょう。そして、FA権を取得したマックの去就はどうなるでしょうか。既に来シーズンに向けた戦いは始まっています。
そして僕は、今日から東京へ行ってきます。
キングスより1週間だけ長く今シーズンを戦っている(そして1週間だけ来シーズンの準備が遅れている)4チームの戦いぶりを見てくる予定です。

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この記事を書いた人

「バスケットボールマガジン 琉球バスケ王国」や「バスケットボール沖縄」、バスケットボール専門誌「OUTNUMBER」などに記事を寄稿しています。

コメント

コメント一覧 (7件)

  • 本当は成選手にはキングスを有明につれていってからアメリカに行って欲しかった。まだ分からないけどちょっと寂しいですね

  • 第2戦のような試合が(土)から出来ていたら… と悔やまれます(>_<) この悔しさ忘れないっっ!! マック、ジェフ、翼、コス、山内の動向が気になります(・_・;) 来シーズンもKINGSでリベンジしてもらいたいっっ(`∀´)

  • 遠山HCの退団が発表されました!早めの発表でびっくりです!来シーズンに向けて早く改革するのはいい事だと思います!早くHC決まって欲しいです!

  • 有明の事前偵察、お疲れ様でした。
    にしても、遠山ヘッドコーチの退団、非常に残念です。
    ところで、キングスダンサーズの音楽なんですが、多分今シーズンから採用されてて、爽やかな感じの奴(漠然としててすみません)、曲名をご存知でしたら教えて下さいm(_ _)m

  • 次期琉球ゴールデンキングス新HCに伊佐勉さん(む~さんです。)
    どうなるか、心配です。遠山HCより心配です。優勝を狙えるかな?
    http://www.okinawa-basketball.jp/2013/05/post_1085.html
    bjリーグファイナルズ準決勝 横浜 VS 新潟の実況が三好ジェームスさんでした。

  • 第一試合、今チェックし終えました。アウトサイドへのチェックが不十分とおっしゃいますが、ペイントエリア外の確率は、京都のレギュラーシーズンと比較すると、むしろ低いです。
    つまり、遠山ヘッドのインサイド重視について、単にアウトサイドへのチェックがルーズと言うには短絡的です。
    批判は結構ですが、根拠がなければただの感情論です。しかも、その感情論が、少なからずの才能ある人間の可能性に影響を与えていることをさばに様は自覚すべきです。
    責任感なく喋れるのがブログの醍醐味かもしれませんが、もはやあなたのブログがその段階にないことは、自覚してらっしゃる通りです。底の浅さを露呈することにもなります。
    批判は、根拠に基づいていただければと思います。

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