ケガ人を抱え、実質8人で試合に臨んだキングスでしたが、東北のチームを相手にディフェンスで粘り勝ちできたのは今後につながる収穫だったと思います。
また、アンソニー・マクヘンリー(=マック)不在の中でベンチメンバーが台頭してきたことも長いシーズンを見据えて好材料。特に今までベンチを温めることの多かった菅原(早稲田出身)は、志村(慶応出身)との早慶OB決戦を2連勝できたことで、喜びもひとしおだったのではないでしょうか。
立ち上がり、志村は澤岻をフルコートでマークしボールを持たせないディフェンスをしていました。普段であればここでマックがボール運びをするのですが、欠場のためセンターのジェフ・ニュートンがボールを運ぶおかしな展開。菅原の投入でツーガードになったあたりからゲームが落ち着きました。
キングスは仙台のエース、ボビー・セントプルーを徹底的にマークしながらも、ボールを持たせたい選手をあえてフリーにし、そこへボールを運ばせるよう仕向ける場面がありました。
たとえば土曜日のゲームの2Qラストの場面、トップの位置で志村がボールを持ち、左45度に松田がいました。キングスは菅原が松田をディナイしますが、澤岻はあえてディナイをやめるよう指示します。菅原はディナイをやめ2メートルほど離れたところで志村が松田へパス。それを狙いすましていたジェフがスティールから速攻→バスカンを決めました。
このように、キングスのディフェンスはボールを持たせていい選手とそうでない選手を明確にし、相手オフェンスをある程度思惑通りにコントロールできたことが勝因だったと思います。
逆に課題としては、クリス・ホルムにオフェンスリバウンドを奪われセカンドチャンスから得点を重ねられたこと。2試合通算でクリスひとりに53得点37リバウンド(ORだけで14本)はいくらなんでもやられすぎです。
2試合とも最後までどう転ぶか分からないクロスゲームでしたが、桶谷HCの素晴らしいところは窮地に陥っても笑顔を見せられるところ。トップに立つ人間にとってこれは重要な資質であると考えます。
バスケットに限らずサラリーマンでも何でもそうですが、ピンチに陥った時に上の人間が慌てると、その不安を下の人間は敏感に感じ取り、チーム全体に不穏な空気が流れます。だから上に立つ人間は、やせ我慢と言われようが何だろうが不安を表に出さない努力をする必要があります。
今シーズンのキングスがゲームの最後まで自信を失わず、ことごとく接戦をモノに出来ているのは、桶谷HCのリーダーの資質が大きく作用していると感じています。
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コメント
コメント一覧 (3件)
なるほど、なるほど。
こうやって解説してもらうとBJTVを何度見ても楽しめますね。
どうも僕はフロア全体を見るのが下手なのでこういった指摘が
あると思わず頷いてしまいます。
今度「さばに流観戦術」を是非教えてください!
ど素人のわたしには、とても勉強になる解説で嬉しいです。
開幕戦で「リバウンドってこんなに取れるものなんだ!」
なんて感じていたのですが
「最近、なんか少ない?」と感じたり。
「あぁ・・・取られたぁ」と感じることが増えたり。
本当に、素人目なので感じただけのことしか言えないので
「難しいんだろうなぁ」と思っています(汗)
色々、ご示教くださいです(*^-^*)
こちらこそ、今後も色々と教えて下さい。m(_ _)m
フロア全体を見渡すなら2階席が適しているでしょうし、
相手チームのベンチ裏で見た方は対戦相手がどんな
指示を出していたかを目の当たりにしていると思うので、
様々な方の観戦記を聞いてみたいですね。