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【総括】第52回全沖縄高校バスケ選手権(兼ウィンターカップ予選)

“ウィンター”カップ予選といえども、まだまだ夏の日差しが残る沖縄県。特に最終日は試合前に雨が降り、体育館の中はスチームサウナ状態。今大会は来年開催される沖縄インターハイに向けたリハーサルを兼ねるうえ、インフルエンザの流行もあり、運営に関しては並々ならぬご苦労があったと思います。関係者の皆様、そして選手の皆様、4日間お疲れさまでした。
男女の決勝戦を中心に、この大会を振り返ります。
【男子決勝 小禄-美来工科】
男子優勝は小禄高校。ウィンターカップ出場は2年連続2回目。昨年の絶対的センター嘉陽宗平の抜けた穴を全員バスケで補い、インターハイ予選とウィンターカップ予選を共に制しました。
決勝の美来工科戦ですが、前日の準決勝・美来工科-興南戦をかなり分析してきたのではないかと思います。
まず、美来のインサイドの要で興南戦勝利の立役者・#10上原賢勇を#11上窪亮一が徹底マーク。上原にボールが入り、ワンドリブルを突いたタイミングでダブルチーム/トリプルチームを仕掛け、彼に仕事をさせません。
美来のガード・#7宮平弥にはオールコートで#4當間健人がマッチアップし、ボール運びに少しでも時間をかけさせます。また、小禄はショットクロックが残り10秒を切るまでシュートを打たないディレイドオフェンスを展開し、美来が得意とする速い展開に持ち込ませなかったことが勝因ではないかと思います。
お互いにディフェンスが良くそれぞれの持ち味を殺しあう試合でしたが、60-56というロースコアに終わったのは小禄の狙い通りに試合が進んだ結果だと僕は見ています。(美来の徹底的なバンプに対して、小禄がインサイドにボールを入れられなかったのは誤算だったでしょうが)
昨年の主力選手が多く残る小禄。今年は東京体育館の雰囲気を思う存分楽しんできて下さい。
【女子決勝 那覇-普天間】
混戦の女子を制したのは那覇高ベアーズ。そうです、キングスの試合でいつもモップ掛けをしてくれている彼女たちです。
小橋川杯で普天間に2点差、インターハイ予選で西原に4点差で惜敗し、惜しくも4強入りを逃してきたチームが、シードチーム3校を倒して一気にトップに登り詰めました。
那覇の2回戦を見た時はマンツーマンディフェンスで戦っていましたが、準々決勝以降の3試合は全て1-2-1-1のゾーンプレスでした(西原戦は2-2-1もやっていました)。どの試合も対戦相手の動揺を誘い、ターンオーバーを誘発して1ピリオドでイニシアチブをとりました。2ピリオド以降も差を詰められるどころか逆に広げていったのは、この作戦が奇襲ではなく実力を兼ね備えていることを裏付けています。
このチームの特徴はエースがいないこと。全員で守り、どこからでも点を取れる強みを持っています。そういうチームに育ってきた要因は、選手の頑張りはもちろん、今までの試合で辛抱強く多くの選手を起用し続けてきた屋嘉コーチの采配によるところが大きいのではないかと思います。
これでウィンターカップへの出場権を得ましたが、一つ気になったのは、シュートを打っていい場面で打たず、1つ2つパスを回してからシュートに至っているシーンがいくつか見られたこと。これが那覇のリズムなのかもしれませんが、全国大会の強豪はこういう1つ2つのオカズを見逃さずマイボールにするしたたかさがあります。
1~2年生主体の若い那覇高。これからもどんどん成長して、全国のバスケファンにその名を轟かせてきて下さい。

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この記事を書いた人

「バスケットボールマガジン 琉球バスケ王国」や「バスケットボール沖縄」、バスケットボール専門誌「OUTNUMBER」などに記事を寄稿しています。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • ありがとうございました!
    自分は試合が見れないので美来が負けたのを聞いた時は残念でした…
    でも小禄には頑張ってほしいです!!

  • >ファンさん
    僕は沖縄県内全てのチームを応援しているのですが、男子の高校生で一チームだけ選べと言われたら美来工科です。
    試合後の3年生の涙や安里先生の何とも言えない表情・・・全てが鮮烈に脳裏に焼きついています。
    写真は、パソコンに取り込み次第アップします。

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