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【戦力比較】キングス-岩手ビッグブルズ

3月9日(土)・10日(日)は一関総合体育館でキングス-岩手ビッグブルズ戦が行われます。沖縄のバスケファンにとってよく知るコーチ、よく知る選手を多く抱えるチーム同士の対戦ゆえに注目が集まりますが、ここで両チームの戦力を比較してみたいと思います。
岩手は開幕8連勝とスタートダッシュに成功しましたが、直近の試合では7節連続で1勝1敗と波に乗ることが出来ません。シーズン途中に澤岻直人を獲得して浮上のきっかけを掴むかと思いきや、今度はディフェンスの要であるローレンス・ブラックレッジが負傷して長期離脱中。
対するキングスもシーズン中盤は浮き沈みの激しい試合を繰り返しており、波に乗れないという点では似た境遇にいるチーム同士といえます。有明ファイナルズでの対戦を見据え、そして終盤戦に向けて勢いをつけるためにも、今節はお互いに負けられない戦いとなります。
現時点の両チームの戦力をグラフにしてみました。

オフェンス力とディフェンス力、スピードでキングスが上回り、パワーと高さで岩手に分があります。戦術面は互角と見ます。このように採点した理由を書いていきます。


◆戦術 (キングス:4点/岩手:4点)
キングスの遠山向人ヘッドコーチ(HC)と岩手の桶谷大HCは、全くタイプの異なるコーチです。
遠山HCは緻密なスカウティングと攻撃的なディフェンスを基盤として、時に「あっ」と驚くような作戦を立てる方です。いうなれば攻めの采配。
昨シーズンの遠山さんは宮崎のHCとして、決して戦力に恵まれているとは言えないチームを率いてキングスを下しています。当時のキングスのセンターはディリオン・スニードでしたが、効果的に外へ押し出して満足なプレーをさせませんでした。そのスニードは現在岩手の選手。今回も十分な対策を練って試合に臨むことと思います。
対する桶谷HCは、決して奇をてらったことはしないコーチです。しかし、刻々と変化する状況に冷静かつ的確な手を打てる方で、この受け身の采配で2度のチャンピオンを獲得しています。
4年間沖縄で指揮を執ってきたことからキングスの選手をよく知っており、各選手のプレースタイルだけでなく、クセや思考の傾向に至るまでを熟知していることでしょう。キングスの得意なプレーを封じるのはもちろんのこと、ドリブルを右手で突かせるか左手で突かせるかといったところまでブレイクダウンして選手に指示を与えてくるはずです。
両チームの戦術面の力量は互角。あとは、それをどれだけコートで体現できるかが勝敗を分けると予想します。
◆オフェンス力 (キングス:4点/岩手:3.5点)
現時点の岩手は、外国籍選手がボールを持ちすぎる傾向があります。今シーズンの総得点のうち、外国籍選手が占める得点の割合は「64.7%」と、その依存度の高さを表しています。(キングスは55.8%)
もちろん、桶谷HCはボールをシェアするよう指示を出していると思いますし、流れを変えるためにガードを交代したり要所でトライアングル・オフェンスをしているのですが、なかなかボールが回るようになりません。
スニードやレジー・オコーサ、カルロス・ディクソンのオフェンスは確かに強力ですが、そこで点を取ってくることが分かっていればディフェンスの絞り込みが出来ます。3月2日(土)の高松戦で40点取ったディクソンも、アンソニー・マクヘンリーや小菅直人、並里成に代わる代わるマッチアップされて同じだけ得点するとは考えにくいです。
キングスは好不調の波はあるものの、ボールをシェアし、的を絞らせにくい攻撃が出来ています。その分、オフェンスの総合力ではキングスに分があると見ます。
◆ディフェンス力 (キングス:5点/岩手:3.5点)
安定したディフェンスで全チーム中最高の勝率を誇っているキングスに満点をつけました。
対する岩手は、なんといってもディフェンスの要=ブラックレッジの長期離脱が痛いです。彼のブロックショットとリバウンドは、相手チームに少なからぬ脅威を与えていました。外国籍選手が3人しかいない岩手は、ファウルトラブルを避けるためにゾーンを織り交ぜてくるでしょう。
しかしポジティブに考えれば、主力の欠場はチーム力を上げるチャンスです。
なかなか勝ちきれない中で、チームに何が足りないのか。こういう時に澤岻や仲村直人、石橋晴行といったベテラン選手のいるチームは強いですよね。前節からの一週間でチーム内にケミストリーが生じているようだと、キングスが苦戦を強いられる可能性は高まります。
◆高さ (キングス:3.5点/岩手:4点)
スニードとオコーサのインサイド2枚看板は脅威です。この二人は高さだけでなく幅もありますから、ゴール下のいい位置でボールを持たれたら2点は覚悟しなければなりません。問題は、ボールを持つ前にどれだけ押し出すことが出来るか。
オコーサは放っておいても20得点10リバウンドくらいは稼いでくれる選手です。3Pシュートも打ちますし、成功率も41.8%と高いです。ただ、3Pシュートについては打たせておいて良いと思います。今シーズン38試合に出場して成功数が23本ですから、1試合あたり1本決まるか決まらないかという数字。ならば、打たせておけば良いです。むしろオフェンスリバウンドに参加されてセカンドチャンスを作られるほうが対戦相手にとっては脅威なので、そこをケアしていくことが肝要。
キングスのジェフ・ニュートンはペリメーターからのジャンプシュートの確率がいいので、相手センターをおびき出してインサイドにスペースを作る意味でもリングから離れてプレーする時間帯が長くなると予想します。彼のジャンプシュートやペネトレイト、合わせが決まるようであれば、岩手を後手に回らせることが出来ます。
◆パワー (キングス:3点/岩手:4.5点)
スニードのパワー。岩手にとってここが一番のストロングポイントです。
ローポストの1対1のディフェンスにおいて、ジェフは自分から下がっちゃうんですよね。これだとファウルは抑えられるのですが押し込まれてしまいます。ジャーフロー・ラーカイはしっかり体を当てて守るのですが、いかんせんファウルが多い。痛し痒しの状況で、キングスとしてはダブルチームやヘジテーションを織り交ぜ組織で守ることが重要になるでしょう。
逆に、スニードのディフェンスにはある“クセ”があります。シーズン通して一緒に練習してきたキングスの選手たちが、これに気づいていないはずはありません。そこを突くことでローポストのポジション取りである程度の体格差はチャラに出来るのですが、さて、そのクセは治っているでしょうか。ここは僕が個人的に注目しているポイントです。
アウェイゲームは10人で戦うキングスですが、今節は誰を帯同させるかという点も気になります。
前節の横浜戦で活躍した金城茂之を連れて行きたいところですが、インサイドのファウルトラブルやスニード対策を考えると、山城吉超の可能性が高いと思います。スニードに対してパワーで真っ向勝負できるのは吉超しかいません。
◆スピード (キングス:5点/岩手:3.5点)
並里、与那嶺翼、山内盛久、小菅、マック。この5人を中心に40分間*2試合に渡って繰り出されるファストブレイクの雨あられを対戦相手は止め続けなくてはなりません。
岩手のディフェンスは、マックに対しては少し離れて付いてくると予想します。これはペネトレイトを警戒すると同時に、彼にアウトサイドシュートを打たせたいから。
マックの3Pシュート成功率は26.4%とキングスのバックコート陣に比べて低いので、岩手としてはより確率の低いところでシュートを打たせて得意のディフェンスリバウンドにつなげたいはず。よって、マックがポンポンと3Pシュートを打つ傾向があれば、その時間帯は岩手のリズムで試合が推移している可能性があります。
平面バスケはキングスの土俵。岩手に対してマックはスラッシャーに徹し、強固なインサイドを崩す役割が求められます。
(本文中に出てくるスタッツは2013/3/8時点のもの)

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この記事を書いた人

「バスケットボールマガジン 琉球バスケ王国」や「バスケットボール沖縄」、バスケットボール専門誌「OUTNUMBER」などに記事を寄稿しています。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 毎回楽しく為になる記事ありがとうございます。
    私は、バスケットの戦術などはあまり詳しくないのでさばにさんのブログで勉強させてもらってますm(_ _)m
    私的にはこの対戦を有明のファイナルでも実現してほしいです(^^)

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