ディフェンディングチャンピオンとして今シーズンを迎えたキングスは、昨シーズンの主力選手が多く残留しました。戦力の入れ替えが少なかった分、開幕当初は他チームに比べて連携が良く、順調に勝ち星を重ねていきました。
しかしシーズン中盤になると、成績下位のチームに取りこぼしをするようになります。インサイドへ侵入する手立てが不足し、外角シュートに頼る不安定な戦いぶりながら、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで勝ちを拾う試合が多くなり始めます。
そしてシーズン終盤に失速。滋賀→大分→浜松と続いたホーム7連戦で3勝4敗と負け越し、プレーオフ西地区セミファイナルでの敗退が決まりました。
今シーズンのキングスは、昨シーズンの優勝メンバーを数多く擁してスタートラインでは優位に立ったものの、「シーズンを通しての戦術の積み上げ」という点で、ファイナルズに進出した浜松や滋賀に及びませんでした。
個人的に、特に印象に残ったシーンを3つ挙げます。
#2ドゥレイロン・バーンズの起用法
一般的な選手起用として、試合終盤は最も信頼のおける選手をコートに送り出します。これはスタメンを選ぶよりも重要なことです。どんなに良い選手であっても、その試合でミスを繰り返している選手をコートに送り出すとしたら、それはギャンブルの要素を含んでいます。
今シーズンのキングスは、#2バーンズの調子が良かろうと悪かろうと、試合終盤は彼にボールを預け、オンボールスクリーンから始まるプレーに頼っていました。バーンズが良ければ勝つ、悪ければ負けるという“一蓮托生の采配”です。
バーンズは得点力が高く、時おり見せるスティールでチームに勢いを与えられる素晴らしい選手です。その反面、ドリブルやパスでミスの多い選手でもあります。
その特性を理解した上で、ボールキープ力のある選手でチャンスメイクをしてバーンズにはキャッチ&シュートに集中させるとか、彼がボールにミートする段階でフリーになるようにオフボールのスクリーンを工夫するとか、もっとやりようはあったんじゃないかと思います。
キングスはbjリーグの中で選手層の厚いチームです。#3並里成や#14岸本隆一、#5アンソニー・マクヘンリー、#54キブエ・トリム、#32山内盛久、#8大宮宏正らを活かして的を絞らせず、もっと分厚い攻撃を仕掛けられたと思うのですが、その長所を自ら封印してしまいました。
チームケミストリーの不足
今シーズン最終戦となったプレーオフ西地区セミファイナル、対浜松の第2戦終了後、ある観客がこんなことを言っていました。
「こんなに覇気のないマック(#5マクヘンリーの愛称)を初めて見た」
私も、その通りだと思いました。キングスは既に第1戦を落としていたので、続く第2戦と第3戦に勝つしかない状況。牙をむいて相手に向かっていかなければならない試合でした。
こんな時、昨シーズンまでのマクヘンリーならば、気合い十分でコートに立ち、バスケットカウントでも決めようものなら観客に向けて咆哮をあげ、煽り、ファンの歓声を自分たちのさらなる闘志に昇華していました。
しかし、この日のマクヘンリーは淡々と自分の仕事をこなすのみでした。チャレンジャーであるはずのキングスは序盤から受け身のディフェンスを展開し、第1クォーターを終えて12対21と大きく出遅れてしまいました。
今シーズン終盤の失速は、チームのケミストリーというか、信頼関係の部分で何らかの問題があったのではないかと考えてしまいます。
最後のコート一周はハイタッチで終えて欲しかった
キングスの背中を押し続けたのは、リーグ1位の集客を記録したキングスファンの方々に他なりません。沖縄在住者だけでなく、県外在住のファンも数多く沖縄のホームゲームに足を運んでおられました。まさに団結の力です。
プレーオフでも会場は超満員。白とゴールドのプレーオフTシャツを着用してスタンドを埋めました。そして、浜松に敗れてファイナルズ進出を逃した後も、スタッフと選手に温かい拍手を送り続けていました。
だからこそ。
浜松戦後、コーチや選手は手を振ってコートを一周回るだけでなく、ハイタッチで回って欲しかったです。そこはスタッフがそう主導して欲しかった。
ファン心理として、数メートル離れたところから傍観者で終わるのと、直接選手と触れ合って当事者でシーズンを終えるのとでは、天と地ほどの差があります。
☆ ☆ ☆
先日、日経ビジネスでキングスが紹介された時に、木村達郎社長のこんなコメントが掲載されていました。
「ほかのチームもファンサービスを始めたが、私たちは完成度が違う」
しかし、今の球団は「ファンサービス」の大事な部分を忘れているように思います。
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コメント
コメント一覧 (13件)
こんばんは、いつも楽しみに拝見してます。
私も感じてました。シーズンを通してマックの元気が無い事に。
ジェフの件が関係してるんでしょうか?キングス躍進の最大の功労者である彼を、ファンになんの説明も無く単なる契約解除で済ました事に今だ納得してません。
観客動員数も落ちてますよね、明らかに。昔からのファンが離れている様な気がします。今年は球団・選手とファンの距離が広く感じた
シーズンでした。この辺の事を来シーズンはテーマにした方が良いと思います。
>「ほかのチームもファンサービスを始めたが、私たちは完成度が違う」
これだけ読めばキングスファン以外は当然ですがキングスファンからもほぼ反感買うようなものをさばにさんが載せるということでいろいろ察し(とういうか心配に・・)
※すいません。この内容削除してください。
だだ、いろいろ思うことがあってコメントさせていただきました。
キングスがプレーオフが負けて凄く悔しいです。
観客動員数も落ちていて残念です。 ファンサービスを増やしてほしいです。
沖縄の地元プロサッカーチームであるFC琉球は試合後、選手とファンとのファンサービスをします。 サイン、写真撮影をしたります。 勝ち負けでなくやります。
FC琉球のホーム最終節は選手とファンの交流を高める。
また、ハンドボールの琉球コラソンも試合後にハイタッチをしたり、サインや写真撮影も応じてくれる。勝ち負けでなくやります。
キングスが試合後のファンサービスについてハイタッチをしなくなって残念です。TV中継でも見るが勝ち負け関係なくハイタッチする時間が見られなくて残念です。 キングスブースターの友人もキングスの試合で「ハイタッチ」などをしないでガッカリしていた。
クラブキングスのファン感謝祭も無料でやってほしい。 クラブキングスに入っている来場者にプレゼントなどをやってほしい。
横浜DeNAベイスターズは中畑清監督を先頭にファンサービスを強化している。 春季キャンプや公式戦(時間がある限り)では中畑監督や三浦大輔選手は練習後に多くのファンにサインや写真撮影します。
一番は、北海道日本ハムファイターズみたいにやってほしい。
来シーズンは優勝してほしいのと一番は、クラブキングス&ファンサービス強化してほしいです。 キングスを盛り上げよう。キングスフロントに取り組んでほしい。
「キングスが最高です。」
全くもって、その通りだと思います。
戦術にしても、ファンサービスにしても同感です。戦術に関しては、素人が偉そうな事は言えませんが、ファンサービスについては、他チームのホームゲーム終了後の対応やファン感謝祭の内容を見て、いつも痛感していました。勿論、チームカラーは各々だと思いますが、キングスのフロントの考えや姿勢は理解し難い部分が多すぎます。
今シーズンは試合観戦しても凄くストレスが溜まり、これまで何よりも最優先してきた週末のキングス応援はだいぶ後退しました。
正直私も球団・選手とブースターの距離は遠くなっているように感じます。
勝負なので負ける事ももちろんあります。でももう負けられない浜松戦で山内選手、大宮選手、津山選手の起用はもっと出来なかったのでしょうか?
バスケ素人ですがチームで戦っている様には感じられませんでした。団結の力、ワクワクドキドキは?
長々とすみません。来シーズンも観戦記楽しみにしてます。
ただマックの去就がとても気になります…
コメントをありがとうございます。
私の書いた本文は辛口な内容となってしまいましたが、キングスが今のままでは困るので、思っていたことを書かせて頂きました。
チームの方針で、病気予防の観点でハイタッチを自粛するというのであれば、それは従うほかないと思っています。ただ、シーズン最終試合で、もうゲームは無いにも関わらず、試合後にハイタッチをしないのは「そりゃないよ!」と思いました。
選手と触れ合いたければブースタークラブに入って、ファン感謝パーティーのチケットを買ってねということなのでしょうけれど、人数に対してパーティーの時間が短すぎて、全選手のサインをコンプリートすることさえできない状況です。
なので、悩みましたが今シーズンはブースタークラブに入会しませんでした。また今後も具体的な改善が無い限り、入会しないと思います。
ただ、来シーズンもキングスを応援しています。
さばにさん
本当に的を得たないようで共感して涙が出ました。
個人的にはチームの仕上がり具合というか、勝てないチームに不安がありましたが、ソレガ的中したという感です。
僕らみたいな素人が伝えるよりさばにさんが伝えてくれる事で球団側も考えると思います。
さばにさんがブースターの声を代表してくれて更に涙が出ました!
バスケを愛してる感がたまんない!
私も凄く熱くなりましてすいませんでした。これからも、キングスファンです。応援します。 浜松戦は悔しいかった。
チームの方針で、「病気予防の観点でハイタッチを自粛するというのであれば、それは従うほかないと思っています。」は大事です。 シーズン最終試合などにやってほしかった。 ブースタークラブについて私も今シーズンは見送った。 さばにさんの意見に賛成です。
いつも楽しみに拝見してます。
今回のサバニさんの総括を何度も読ませていただきました。
ファンサービスに関しては、年々質が落ちてるように感じていたのに、他のチームとは完成度が違う…なんて驚きです。
本当にファンが満足してるのかアンケートでもとってみたらいいのに…
シャリーンとポイントを貯めてた頃が良かったかな。
ポイントをためて、ユニフォーム姿の選手とコートでとった写真は今でも宝物です。
今は何回来場しようが、いくらグッズを買おうが何のお得感もありません。
会員の特典が、いつどこで使っていいのかわからない手ぬぐいだったのも驚きでした。
改善を望みます。
長々と失礼しました。
いつも勉強させてもらっています。
今シーズンのキングス・・・・ある意味予想通りでした。確かにメンバーを見れば優勝できる実力はあったと思います。しかし、内容の薄い勝ちが多いように感じました。というか、去年からの成長があまり感じられなかった気がします。チームの色がでていなかったかと・・・。連覇を狙うからこそ、ディフェンス、オフェンス共に明確なカラーを打ち出してほしかったなと思いました。
あと、もう一つ気になったのは、メンバー全員交代です。全員交代が悪いとは思いませんが、良いとも思えませんでした。流れを変える為なら、もう少し選手の状態や調子を見てほしかった。確かに初めてやられたチームには効果はあるかと思います。しかし、データを得たチームにやっても対策がなされているので余計に悪循環になるリスクも大きかった気がします。全員交代をした後に、流れが良くなった試合は少なかったと考えます。
バスケをかじった程度の自分が、偉そうな事を言って申し訳ないです。ですが、一つの意見として考えてもらえると嬉しいです。
来シーズンは、強いキングスが戻ってくる事を期待しています。
さばにさん…
そうなんです!まったくもって同感!
何故他の選手をもっと使わないんだろう?
山内選手は?大宮選手は?小菅選手は?!
マックについてもずっと不思議やった、
体調が悪いのか?疲れちゃったのか?覇気がないなぁ。と。
今シーズンは謎とフラストレーションが溜まりました。
ファンサービスも皆さんの意見に共感します。
初心忘るべからず!
あと私個人的に??と感じた事は、
キングスの営業さん達。
年間シート購入、プレーオフチケット購入の際の不手際(・・;)
会社としてどうなの?(-。-; ほうれん草って知ってるー?!
チームもまとまってないし、会社も連携が取れてない。
不信感ばかりで私も来シーズンは足が遠のきそうです。
キングスでマクヘンリー選手などいつも、見せていたプレーが見られなくて残念でした。諦めないプレーが見られなくて残念です。浜松はアウェーでも最後まで諦めない精神があった。
さばにさん、辛口のブログを出してくれて心から拍手を送りたい。コメントを書いてくれたブースターにも心から拍手を送りたい。勇気を出してと思います。
私も桶谷大HC時代の時は、多くファンサービス、ハイタッチなどが出来て凄く行くのが楽しさありました。 1Fで見られる機会が無くても2F自由席からの声を出して選手、HCなどにエールしました。
遠山HC時代以降、途中からファンサービスが減って残念でした。
クラブキングスでもポイントの頃は凄く行く機会が増えたが運試し抽選が出てきて行く機会がない。 公開練習も1回になって残念です。 ここから選手、ファンとの交流が減った。岩手、秋田、滋賀などが観客を増やせたのは試合やファンサービス強化などです。 ファンクラブの内容です。
キングスも考えてほしい。 もちろん、来シーズンも応援します。 ファンサービス&クラブキングス内容を大改革してほしい。
皆さん、いろいろと意見があるようで。。。
例えキングスが負けようとも、ハイタッチがなくファンサービスに欠けたとしても、会員特典に満足しなくても、球団に不手際があっても、私は来シーズンもゴールド会員更新するしホームゲームも完全制覇しますよ。アウェイ戦も行っちゃうよ~
だって、大好きなキングス 大好きな選手を応援出来るだけで楽しいんだも~ん♪
楽しめることは他にもたくさ~んありますよ!
来シーズンは有明でキングスを応援したいなぁ~♪