5月7日・8日はbjリーグ カンファレンス セミファイナル、琉球ゴールデンキングス(西地区2位)vs大阪エヴェッサ(同6位)が沖縄市体育館で行われます。
今シーズンの対戦成績は2勝2敗の五分。つい2週間前、レギュラーシーズン最終節でも対戦したばかりの両チームは、その時のデータや手応えを基に対策を練ってきたことでしょう。
【bjリーグの歴史の中で】
プレーオフを勝ち上がっている8チームのうち、優勝経験があるのはキングスと大阪だけ。共に3度の優勝を誇る長年のライバルチームで、そのどちらか一方がここで姿を消します。bjリーグ最多、4度目の優勝の可能性を残すのはキングスか、それとも大阪か。
思い起こせばキングス誕生1シーズン目、大阪にはさんざん苦杯をなめさせられました。そして迎えた2シーズン目、「大阪に勝つ」という明確な目標を設定したキングスは、有明の舞台で最大17点差をひっくり返して悲願を達成。その勢いのまま頂点へと駆け上がりました。
その後も数々の名勝負を繰り広げてきた両チーム。現在の大阪には元キングスの桶谷大ヘッドコーチや#7並里成が在籍しており、bj最終シーズンの沖縄開催プレーオフで、運命的な顔合わせとなりました。
【両チームの特徴】
レギュラーシーズンの一試合平均得点が86.2と西地区1位の攻撃力を誇るキングスと、一試合平均失点が67.6とリーグ一のディフェンス力を誇る大阪の対戦となります。
キングスはシーズンを通してフリースローが好調で、プレーオフ1stラウンドに至っては成功率が97.6%(40/41)。大阪はインサイドのディフェンスが特に強固なチームですが、キングスに対して不用意なファウルは避けなければならず、フィジカルコンタクトに対する審判のジャッジと、そのジャッジに対する選手の適応力が勝敗を分ける要素の一つになると予想します。
【大阪の要注意人物】
内外の核である#7並里(172cm)と#21ローレンス・ブラックレッジ(207cm)。そして、フォワードの#5オルー・アシャオル(200cm)を要注意人物に挙げます。
キングスとしては、決定的なクラッチ力を誇る#7並里がいる大阪に対して、試合終盤まで競る展開は願わくば避けたいところ。名将・桶谷HCが即興で生み出す、残り数秒のスペシャルプレーも脅威です。
#21ブラックレッジは長い手足とアジリティーでスティール/ブロックを量産するディフェンスの要。彼のディフェンスを完全に回避することは困難ですが、キングスとしては強い気持ちで向かっていくことが必要です。今週末の試合では身長差22cmの#31喜多川修平(185cm)にマッチアップする可能性があります。
そして、#5アシャオル。
昨シーズンは浜松の選手として沖縄のコートに立ち、キングスの有明行きを阻止した選手です。一旦勢いに乗せてしまうと、止めることは困難を極めます。大阪ではまだその実力を発揮しきれていない印象ですが、願わくば今週末の試合が終わるまで、目覚めないでいて欲しい選手です。
【注目のマッチアップ】
おそらく、大阪#7並里は#14岸本隆一や#2ドゥレイロン・バーンズにマッチアップすると思うのですが、私はあえて、キングスのルーキー#13津山尚大と#7並里のマッチアップに期待します。
津山にとって、並里は学生時代から意識してきた存在で、背番号13の由来にもなった選手です。その偉大なる先輩に対して、地元開催のプレーオフで、自身の成長した姿で恩を返す津山を見たい。そのためにはまず「並里がマッチアップせざるを得ない」くらいの活躍をする必要があります。期待しています。
【両チームのゾーンディフェンスの使いどころに注目】
レギュラーシーズン最終節の4月23日(土)、第2Qに両チームともゾーンディフェンスを使う時間帯がありました。
キングスは追いかける展開でゾーンディフェンスを敷きました。しかし、大阪はギャップを突いてこれを粉砕。キングスはディフェンスをマンツーマンに戻しました。
逆に大阪は7点リードのシチュエーションでゾーンを敷きました。やっていたのはおそらくマッチアップゾーンで、ディフェンスを変化させてリードを広げる意図があったと推測します。しかし、キングスは素早いパス回しから#31喜多川が3ポイントシュートを沈めると、大阪はすぐさまマンツーマンに戻しました。
つい2週間前の出来事だけに、両チームのコーチ・選手の脳裏にこの経験は鮮明に残っているはず。その上で、プレーオフでゾーンを使うのか、使うとしたらどのような意図とシチュエーションで使うのか。
【大阪はオフェンスも侮れない】
大阪のディフェンス力ばかりクローズアップしましたが、レギュラーシーズン終盤からは攻撃面も好調です。私は大阪の2つのハーフコートオフェンスに注目しています。
ガードの#7並里がセットオフェンスの指示を出している時の写真です。写真左はHornsオフェンス(※)を始める時のものです。
※Horns:トップ、エルボー、コーナーに選手を配置し、シンメトリーで始まるオフェンスのこと。フロアバランスが良く、攻撃オプションが多彩。
写真右の親指を立てたほう(桶谷HCはthumbs upと呼んでいた)は、まだ把握しきれていないのですが、たぶんフレックスオフェンス(※)を始める時のコールではないかと思います。攻撃をスタートする時の陣形はHornsとまったく同じなのですが、エントリープレーが異なり、そこから各選手がスクリーンを掛け合いながらフリーを作ります。
※私はフレックスオフェンスだと思っているのですが、調べたらHornsフレックスオフェンスというのもあるそうで、訳分からなくなってきました。
キングスのディフェンスに対して、大阪はこれらをどのような意図で使い分けているのか。考えながら観るのも楽しみの一つとなります。
【キングス-大阪戦の勝敗予想】
キングス-大阪戦でどちらが勝つかは、正直言ってまったく分かりません。
ただし、この試合に勝った方が、今シーズンのチャンピオンになると予想します。
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