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【所感】キングス-浜松・東三河フェニックス(10/2)

奥平貴也
キングス 69(21-20,13-21,20-20,15-17)78 浜松・東三河フェニックス
今シーズンの浜松・東三河フェニックスは、ディフェンディング・チャンピオンとして日韓戦に臨む必要がありました。また、中国で行われたABAチャンピオンシップゲームにも出場したので、シーズン開幕前にも関わらず既に数試合をこなしています。
対するキングスはこれが初陣。最終的にウェスタン・カンファレンスの6位以内に入り、そこからプレイオフを勝ち上がればいいわけで、何もいま仕上がりを急ぐ必要はありません。
従って、現時点では浜松が上回っていて当然。このプレシーズンゲームでは、キングスの今シーズンの方向性を確かめることが目的です。
☆ ☆ ☆
最近なにかと話題の浜松のスパイラル・オフェンスですが、僕は日韓戦を観ていないので今回初めて目にすることが出来ました。その実体はパスラン。パッシングのモーションオフェンスでした。
見ていて感心したのは、ボールを持っていない4人の動き。
ボールマンがペネトレイト出来るだけのタメを作ってからオフボールが動き始めるので、ボールマンはペネトレイトも出来るし、そこからの“合わせ”にも繋げやすい。モーションの前にショルダーフェイクでディフェンスを逆方向に振ることもあるし、何より一歩目が速い。こういう地味なところがディフェンスにとっては嫌なんだよね。
これらは学生バスケで指導されるレベルの基本ですが、こうした基礎を5人全員がしっかりとコート上で体現できるからこそ、bjのレベルで通用しているのだと思いました。
さて、話題をキングスに移して。
今シーズンに向けての選手補強、そして目指すバスケットボールについて、9月9日の琉球新報に以下のように書かれています。
「昨季を振り返って(中略)勝負どころのプレーオフではゴール下を固めるディフェンスを崩しきれなかった。(中略)昨季よりサイズは小さくなったが、平面的に速い選手をそろえた。守りを頑張ることのでき、外からでも攻撃のできる選手を補強した。」
そうなんです。昨シーズンはシゲの長期離脱やヤスの怪我といったアクシデントが続き、シューター不在でシーズン終盤を迎えました。
ジョージ・リーチという絶対的なセンタープレイヤーがいながらも勝ちきれなかったのは、相手のコンパクトなディフェンスを広げることが出来なかったから。「ここでアウトサイドシュートの駒があったなら…」と涙を飲んだ試合は数知れず。そういう反省が今シーズンの補強には込められていたはず。
しかし…
昨日のキングス-浜松戦、4Q残り2:34、キングス8点ビハインドの場面で浜松は全てのタイムアウトを使いきりました。ディフェンスはゾーン。対するキングスは小菅・シゲ・カルロスという3枚のスリーポイントシューターが同時にコート上に立っていました。bjリーグでの実績も十分の小菅とシゲが両ウイングに立っているオフェンスは、相手チームにとって脅威だったはず。しかも中央には成功率4割シューターのカルロス。
それこそここでスリーポイントシュートの雨あられを降らせて、本来取れないはずのタイムアウトを中村和雄さんに申請させてテクニカル、くらいの流れになればキングスファンとしては最高でした。そこまではいかないまでも、ゾーンを諦めてマンツーに戻さざるをえない状況にしたかったはず。
が、この場面でスリーポイントを打たず、ドリブルペネトレイトを繰り返す理由が僕には分かりませんでした。何度も言いますが、浜松のディフェンスはゾーンです。
☆ ☆ ☆
このプレシーズンゲームは、キングスの今シーズンの方向性を確かめることが僕にとっての目的。1戦目で見出せなかったそれを、2戦目で見出そうと思います。勝敗にはこだわりませんが、昨シーズンの反省が活かされた戦いを見せて欲しいです。

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この記事を書いた人

「バスケットボールマガジン 琉球バスケ王国」や「バスケットボール沖縄」、バスケットボール専門誌「OUTNUMBER」などに記事を寄稿しています。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 相変わらずの鋭い分析で勉強になります。
    自分としてはピュアセンターの居ないバスケはあまり好きではないのでちょっと違和感がありました。ゴールを背にキッチリ仕事ができて(ミスマッチを突くようなポストプレーはありましたが)そこからのキックアウトというのが無くゾーンDの攻略もセンター無しの為上手く出来ていないように感じて逆に攻撃の幅が狭まった感じさえします。キングスの武器でもあったディフェンス時のゴール下のカバーディフェンスもさほど脅威ではないようにも感じました。
    まだ開幕もしておらず、先は長くシーズン後半は全くの別物になっているでしょうが一抹の不安が残ります。その辺の話も会場で教えてください!

  • 自分も勉強になります。
    今年のキングスには、危うさを自分としては感じました。
    浜松がハッキリとしたビジョンが見えたのに対して、何がしたいのかが見えなかったのは自分だけでしょうか?
    シゲを中心にしたいのなら、シゲが徹底マークされるのはわかっているはずなのに、スクリーンのパターンん増やすなどして、フリーにさせるなど、明らかなキングスの近く意図が自分には伝わりませんでした。
    それとも、ディクソン、コスが入ってどこからでも攻撃できる考えなんでしょうか?
    浜松のように、決まったオフェンスパターンがあって、シューターは気楽に打てているので、クラッチシュート
    も決まっていたのかなと。じゃないと、あんなに外からきまりませんよね(^_^;)
    キングスは、みな一人だけで攻撃しているように見えました。
    センター、クウソはリング下はダメですかね?リバウンドは良さそうですけど、リング下が弱いと、安定しないんじゃないかと不安です。
    あとは、練習生あがりが頼もしいなと。
    不安はありますが楽しみですね。
    これからも、いろいろ教えて下さい。

  • 今はまだ開幕前で、試合を重ねるにつれて進化していくと分かってはいながらも、一抹の不安を抱かせるプレシーズンゲームでしたね…。
    キングスのオフェンスは、トライアングルを使いながらどこからでも点を取れる形が理想なのだと思いますが、この2日間は残念ながら機能していませんでした。
    ディフェンス面は、桶さんのことだから心配してません。

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