開幕から8試合を終え、6勝2敗で西地区4位につけるキングス。8試合のうち6試合がアウェイゲームだったことを考えるとまずまずの順位といえますが、試合内容が悪いため、エントリーのタイトルにあえて“不調”と付けました。
1試合の平均得点「71.4」は西地区10チーム中8位と得点力不足は否めません。苦しいながらもディフェンスを頑張って勝ちを拾っているという状況です。
※数値は全て2014/10/29時点のもの。
なぜ得点が伸びないのでしょうか。
その要因は、今シーズンからオフェンス・システムを一段階進化させているからだと思います。
2014-2015シーズンのキングスは、ピック&ロールを起点として各選手がスクリーンをかけ合いながらパスでボールをつなぎ、シュートチャンスをクリエイトしています。
最近、私はテレビのCS放送でスペインの試合を観ていますが、まさにスペインのクラブチームがやっているようなバスケットをしています。
「パスでつなぐバスケット」は今に始まったことではなく、伊佐勉氏がキングスのヘッドコーチに就任した当時から標榜していました。今シーズンは、それをより突き詰めたスタイルのオフェンスをコーディネイトしています。
しかし、シュートに至るまでのパス交換の段階でターンオーバーを喫してしまったり、せっかくワイドオープンを作っても肝心のシュートが決まらない等、現在はそのオフェンス・システムを“習得している”段階。結果として得点が伸び悩んでいます。開幕から8試合で既にスタメンを4回も入れ替えているので、まだ手探り状態なのかもしれません。
しかし、悪いなりに勝利を拾えているのは特筆すべきこと。選手間の連携は試合が進むにつれて良くなっていくでしょうし、私はあまり不安視していません。
ただ、ワイドオープンのシュートが決まらないのは困りました。どんなに優れた戦術を持っていても、バスケはシュートが決まらなければ勝てません。
「なぜ、ディフェンディング・チャンピオンがシステムを変える必要があるんだ?!」
という考え方もあると思います。しかし、今シーズンのbj各チームは「昨シーズンの優勝チームであるキングスの戦力を基にチーム作りをしている」と予想されるため、現状維持ではやがて勝てなくなることでしょう。連覇を達成するためには、他チームよりも先へ行く必要があります。
個人的には、いまキングスがやっているようなユーロスタイルのバスケは好きです。
安里幸男氏が美来工科を指導されていた頃の話ですが、「選手にスペインバスケのビデオを見せている」とおっしゃっていました。また、沖縄の中学生チームの中には韓国バスケの要素を採り入れているところもあります。
キングスをはじめ、こうした取り組みは国際色豊かな“チャンプルー文化”として、沖縄バスケ界に新しい風を吹き込んでくれるのではないかと期待しています。
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