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【観戦記】琉球キングス-京都ハンナリーズ(3/28)

各局面で高度な駆け引きが繰り広げられる中、初戦を制したのは京都
デイビッド・パルマー
元キングスの京都#12デイビッド・パルマーは、第4Q残り14.5秒、試合を決める3ポイントシュートを沈めた
キングス 73(14-6.19-26.22-25.18-22)79 京都
【スターティング5とマッチアップ】
#14岸本隆一(176cm) – #0瀬戸山京介(187cm)
#6金城茂之(183cm) – #12デイビッド・パルマー(201cm)
#9小菅直人(187cm) – #33内海慎吾(188cm)
#5アンソニー・マクヘンリー(202cm) – #9綿貫瞬(178cm)
#54キブエ・トリム(209cm) – #2レジー・ウォーレン(202cm)
【観戦記】
#2ドゥレイロン・バーンズが右膝の怪我を乗り越え、5試合ぶりの戦列復帰となりました。持ち前の得点力を発揮し、オフェンスでは彼のところがストロングポイントになるものの、コンディションが本調子でないことは明らかで、ディフェンスでは彼のところがウィークポイントになってしまいました。「アメフトのように、オフェンス時とディフェンス時で選手を入れ替えられたらいいのに」と思わされた試合でした。
試合の立ち上がり、僕はキングスのマッチアップに注目していました。乗せてはいけない京都のシューター#33内海には#9小菅しかいません。過去の対戦から#12パルマーに#6金城をマッチアップさせていたことがあるので、これも想定内。しかし、京都のポイントガード#9綿貫に#5マクヘンリーをマッチアップさせたのは驚きました。
#5マクヘンリーはヘルプディフェンスの要なので、ポイントガードに付いて外へおびき出されてしまうと、インサイドのヘルプが遅れる可能性があります。なので、このマッチアップにどういう意図があったのかを訊いてみたいと思いました。例えば、ボールの出どころに高身長の選手を付けて、視野を狭めさせる狙いがあったとか。
京都はbjリーグ22チーム中、失点が最も少ないチームで、キングスは最初の攻撃でいきなり24秒オーバータイムを取られます。しかし、その後は盛り返し#9小菅のドライブや#14岸本のスティールから速攻が決まり、第1Qを終えて14対6とイニシアチブを取ります。
第2Qに入ると京都が追撃を開始します。京都のオフェンスで最も目を引いたのは、Hornsオフェンスです。Hornsはbjリーグの中でも使うチームが多く、キングスも時々やっていますが、おそらく京都のそれはリーグNo.1の破壊力を持っていると思います。まず、コーナーでボールを待ち受けるのはリーグ屈指のシューター#12パルマーと#33内海です。そして、エルボーに立つのは#2ウォーレンと#42ケビン・コッツァー。この二人は体に幅があるのでスクリーンがしっかりと掛かる上、パワーがあるのでゴール下で威力を発揮しますし、ポップアウトして3ポイントシュートを打つこともできます。
それでもキングスはディフェンスを頑張り、第2Q終了時のスコアは33対32と1点のリードで試合を折り返しました。この時点でのターンオーバー数はキングスが2、京都が7。京都としては、ターンオーバーの数をいかにして逆転していくかが後半の課題になると思います。対するキングスとしては、京都の#32ライアン・フォーハンケリーに前半だけで13得点2アシスト5リバウンドと大暴れされてしまいました。前半は膝の調子がまだ万全ではない#2バーンズがマッチアップしていたので、ここをどう防いでいくかに注目していました。
後半、京都の#32フォーハンケリーに対してキングスはマッチアップを代え、#3並里成を付けました。高さのミスマッチがあるので、ボールを持たれるとどうしてもシュートを打たれてしまうのですが、ボールを持つ前のポジション取りを難しくさせ、後半を3得点に抑えたのは並里の功績です。
オフェンスでは#14岸本が好調。3ポイントシュートやドライブからの得点だけでなく、ゲームメイクも巧みで、勝利へ向けチームをけん引していました。
同じくオフェンス好調の#2バーンズですが、ディフェンスではマッチアップした#12パルマーに攻め立てられます。京都の「(まだ本調子でない)バーンズを攻めろ」は徹底していて、シュートの1stオプションはバーンズにマッチアップされている選手。第4Q残り14.5秒、試合を決める3ポイントシュートを沈めたのもパルマーでした。
試合終盤、キングスはインサイドの#54トリムと#4アンソニー・ケントがファウルトラブルで、#2バーンズも本調子でない中、ゾーンディフェンスをもっと活用するという選択肢もあったと思います。しかし、京都は素早いパッシングからゾーンを攻略するのが上手いチーム。ゾーンはむしろ傷口を広げる可能性があり、コーチとしては判断が難しい試合だったと思います。
試合終盤の攻撃面では、個人技頼みとなりパスが回らない事態となってしまいました。チームの考えなので、それが一概に悪いとは思いません。しかし、今シーズン好調を維持し、今日もチームをけん引していた#14岸本に、勝負どころでボールが回らなかったのは非常に残念でした。
ドゥレイロン・バーンズ
5試合ぶりの戦列復帰となった#2ドゥレイロン・バーンズ
岸本隆一
今シーズンも好調の#14岸本隆一

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この記事を書いた人

「バスケットボールマガジン 琉球バスケ王国」や「バスケットボール沖縄」、バスケットボール専門誌「OUTNUMBER」などに記事を寄稿しています。

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