bjリーグやJBL、関東大学リーグに共通しているのは、同じ相手と2連戦を行うこと。その多くは土日に開催されますが、土曜日に手の内を見せ合ったチーム同士が翌日に再戦するため、当然日曜日のほうが戦いづらく、そのぶん戦術面での攻防も見ごたえがあります。
土曜の試合前にスカウティングを行い、対戦相手に向けた対策を練った上でコートに立つと思いますが、選手の調子やケガの状況は当日になってみなければ分からない部分もあります。従って、土曜の試合はお互いに手の内を探りつつ、ジャブの応酬で幕を開けることが多いはずです。
しかし翌日の日曜は、前日の反省を踏まえて対策を練ることが出来ます。また、相手がどういう対策を打ってくるかを予見して、更にそれを上回る策を練る必要も出てきます。このあたりはコーチやガード陣の腕の見せ所になってくると思います。
『土曜は選手の力量が分かり、日曜はコーチの力量が分かる』というのが僕がリーグ戦を見る時の楽しみであり、一つ一つの試合を“点”で見るのではなく“線”で捉えたほうがゲームをより楽しめると考えています。
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先週末の新潟アルビレックスBB戦、土曜のスタートはお互いにマンツーマン・ディフェンスでしたが、2Q開始から新潟が2-3ゾーンを敷くとキングスのオフェンスリズムが悪くなります。
キングスは澤岻に代えて健哉を投入すると、素早いパス回しからディフェンスを切り崩し、再びリズムを掴みました。人を守るマンツーに対し、ゾーンはボールの動きに合わせて陣形を変えるディフェンスのため、素早いパス回しをされるとどうしても対応が遅れます。これは人の足よりもボールのほうが速いためで、ゾーン対策のセオリーとされています。
日曜も2Q開始から新潟はゾーンを敷きますが、それを予見していたキングスは早いパス回しで攻略し、新潟はたまらずタイムアウトをとります。タイムアウト明け、前日にゾーン攻略のきっかけを作った健哉を投入すると、新潟はあっさりとゾーンを捨てマンツーに戻します。そしてガードを澤岻に戻すと今度はまたゾーンを敷いていました。このあたりは前日の反省がきっちりと活かされているなと感じました。
日曜の4Q残り4:34で新潟のセンター・ドクンが4つ目のファウルを犯してからは、マッチアップのクリスに徹底的にボールを入れてインサイドを攻めます。連続得点を許した2:30に新潟がタイムアウトをとりますが、その後は長谷川が積極的にダブルチームを仕掛け、クリス封じに成功しました。
新潟のスターティング・ガードは2日とも竹野。シュートタッチは良いのですが、ガードとしてはややボールを持ちすぎている印象を受けました。そこで、日曜は同じガードの長谷川を入れてツーガードの時間帯を多くとり、どちらかというとSG的な役割で点を取ることに専念させていました。この策が功を奏して残り2秒の逆転シュートにつながったと認識しています。
このように、日曜の新潟は前日の反省をふまえつつ、的確なベンチワークで連敗を止めました。キングスはホームで初の敗戦となりましたが、試合内容としては楽しめるものであり、悲観はしていません。
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